教育・研究成果
イベント実績
【シンポジウム】「博士の知を社会へつなぐキャリアシンポジウム~私立大学・SPRINGプログラムと考える博士人材の可能性~」を上智大学・青山学院大学合同で開催しました。
産官学から約120名が参加し、文系を含む博士人材の社会実装を議論
2025年11月26日(水)、上智大学(以下、「本学」といいます。)は株式会社アカリクとともに青山学院大学と合同で「博士の知を社会へつなぐキャリアシンポジウム~私立大学・SPRINGプログラムと考える博士人材の可能性~」を青山学院大学(青山キャンパス)にて開催いたしました。
当日は、対面・オンライン合わせて約120名の大学関係者・民間企業関係者・学生・省庁関係者が参加しました。文部科学省や富士通株式会社・株式会社三菱総合研究所・トグルホールディングス株式会社といった博士人材の活躍推進をリードする企業による講演のほか、両大学の選抜学生による研究プレゼンテーションが行われ、高度な専門知を持つ博士人材の社会での活躍可能性について議論を深めました。
開催の背景
日本の科学技術力向上やイノベーション創出において、高度な専門性と能力を持つ博士人材の活躍推進が喫緊の課題となっています。特に、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」などを通じ、博士学生への支援が拡大する中、博士学生が自身の研究を社会へどう還元するか、また産業界が博士人材の専門性や研究で培ったスキルをどう活かせるかが大きな課題となり、博士人材のキャリアパスの拡大が注目されています。
本シンポジウムは、SPRINGプログラムに採択されている本学と青山学院大学が連携し、理系分野のみならず、多様なキャリアパスが比較的見えにくいとされる人文・社会科学系(文系)の博士人材の可能性にも焦点を当て、学生のキャリア観の醸成と企業側の理解促進を目的に開催されました。
実施内容とハイライト
1. 基調講演
基調講演では、はじめに、政策立案の立場から文部科学省 科学技術・学術政策局 人材政策推進室長の中村 徹平氏が登壇し、博士人材を取り巻く環境やその課題について解説しました。 また、民間企業からは以下の3名が登壇し、それぞれの企業における博士人材の活躍促進のための取り組みの紹介や、博士人材の評価ポイントなどについて、実体験や採用現場の視点から講演を行いました。
◎ 富士通株式会社 Employee Success本部 R&D人事部 シニアマネージャー 輿 秀和 氏
◎ 株式会社三菱総合研究所 組織・人材戦略本部(兼)未来共創グループ 主任研究員 薮本 沙織 氏
◎ トグルホールディングス株式会社 執行役員 CPO 新谷 健 氏

文部科学省 科学技術・学術政策局 人材政策推進室長 中村 徹平氏による基調講演の様子
2. 上智大学・青山学院大学の選抜学生による研究プレゼンテーション
両大学から選抜されたSPRING博士学生計6名(本学からは3名)が登壇。自身の研究について、専門外の人にも伝わるよう工夫を凝らしたプレゼンテーションを行いました。プレゼンテーションの中では、研究だけでなくSPRINGプログラムへの参加の中で得たもの、将来のキャリアについてもそれぞれの考えを語りました。博士人材のキャリアイベントの多くにおいては、理系分野の研究を行う学生が比較的注目されやすい傾向にある中、今回のイベントでは文系分野の研究を行う学生も登壇しました。

全6名の文系・理系の博士学生がプレゼンテーションを実施した
3.パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、基調講演で登壇した4名に本学・青山学院大学の学生が加わり、多角的な視点から博士人材の最大の魅力や価値、その魅力をさらに発信していくための方法など、博士人材の活躍のための議論が展開されました。

パネルディスカッションでは、産学双方の視点から博士人材に関する意見交換が行われた
4. 交流会
イベント終了後の交流会には多くの参加者が残り、博士人材を中心に様々なトピックに関する情報交換を行いました。博士学生からは「博士人材に対する産業界の視点を知ることができてとても参考になった」、民間企業の人事担当者からは「博士人材に対する理解が深まった。積極的に接点を創出していきたい」といった声が聞かれ、活発なネットワーキングの場となりました。

交流会にも多数の関係者が参加し、活発な情報交換や交流が行われた
参加実績と反響
・開催日: 2025年11月26日(水)
・場所: 青山学院大学 青山キャンパス
・参加人数: 合計約120名(対面59名、オンライン60名)
・参加者層: 学部生〜博士学生、民間企業人事・R&D担当者、大学教職員、省庁関係者
事後アンケートや会場の声では、「産・学・官が一堂に会して議論する場というだけでも貴重だが、特に学生が議論に参加する試みが良かったと思う。」「通常、人社系の博士人材に関する話題がなかなか出ないが、意識的に触れてもらえて大変参考になった。」「博士人材を取り巻く環境、博士人材の活用の施策、研究と仕事の関連性、博士人材の具体的活用事例、要領等、大変分かり易くかつ学生様のリアルな意見も交え、具体的に理解することができました。」といった感想が寄せられました。
